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スタートアップと起業は違う?ベンチャーとの違いも説明

現在、世界でスタートアップの立ち上げが活発になっています。経済産業省によると、世界のスタートアップへの投資額は2022年には1671億ドル(約18兆円)になっています。
また、PR TIMES によると、2021年の国内のスタートアップへの投資額は約7,801億円で、新型コロナウイルス感染症の影響で例年より減少して約5,334億円あったものの、去年は約2,500億円上昇しました。
「事務局説明資料(スタートアップについて)資料3」2021年 経済産業省 経済産業政策局
このように、スタートアップは世界中で注目されています。
では、スタートアップとは一体何なのでしょうか。似ている言葉のベンチャーやスモールビジネスも合わせて説明していきます。

スタートアップとは?意味や特徴は何?


経済産業省によるとスタートアップとは

・新しいビジネスモデルを考えて、新たな市場を開拓し、社会に新しい価値を提供したり、社会に貢献することによって事業の価値を短期間で飛躍的に高め、株式上場や事業売却を目指す企業や組織

以上の定義からスタートアップの特徴をまとめると以下のようになります。

スタートアップの特徴

    1.事業の価値を短期間で飛躍的に高める
    2.新しいビジネスモデル、新しい市場の創出
    3.社会貢献や新しい価値を提供
    4.株式上場や事業売却を目指す

1.事業の価値を短期間で飛躍的に高める

これはスタートアップの成長の特徴を示しています。スタートアップは、一度資金が右肩下がりになり、そこから急激に成長するという成長曲線(Jカーブ)が理想的であるとされています。

そのような成長を描くことによって、短期間で巨額のリターンを得ることができるのが特徴です。

2.新しいビジネスモデル、新しい市場の創出


スタートアップが進出する市場は、市場があるのかどうかもわからない市場です。
また、既存の市場でもまだ誰にも気付かれていない市場もスタートアップが狙う市場です。
前者は新しい市場の創出で、後者は新しいビジネスモデルの創出です。

(新しい市場の創出)

Facebookは、そもそもオンラインであるのに実名で登録し、つながるサービスに対して需要があるかどうかもわからないままそのサービスを提供しました。その結果、オンライン上で実名のつながりを持つサービスに需要があり、そこに市場があることがわかりました。

(新しいビジネスモデルの創出)

Uberはタクシー業界のビジネスモデルを変えました。タクシーを利用したいという市場はUberができる以前にもあり続けていました。しかし、タクシーの利用料金が高いことや配車に時間がかかることなどが課題としてありました。そこで、一般の車を持っている人が運転手となるサービスを作ることで、タクシー業界に大きな影響を与えることになりました。

3.社会貢献や新しい価値を提供


上記のように、FacebookやUberなどのスタートアップ企業は、今まで課題としてあったものをオリジナリティのある方法で解決したり、新しい価値を提供しています。
スタートアップは、みんなが気づいていない課題や価値を解決する方法を提供することによって、大きな成長をするのです。

4.株式上場や事業売却を目指す


スタートアップは、ずっとスタートアップであり続けるわけではありません。FacebookやUberは既にスタートアップ企業ではないでしょう。
スタートアップは、新しいビジネスモデルや市場を見つけて、一定成長すると、今度はそのサービスを維持・拡大・アップデートし続ける段階に入ります。
この段階に入るとスタートアップ企業は、スタートアップではなくなり、一般企業になります。
その方法として、株式上場や事業売却をすることになります。

ベンチャー企業とは


ベンチャー企業とは日本人が作った和製英語です。
経済産業省によると

一般的には、大企業の枠組みでは取り組みにくい独自の技術や新しいアイデアを実践し成長している企業のことを指す。比較的歴史が浅い企業について使われる場合が多い。

一方で、英語でVenture とは、「ベンチャーキャピタル(VC)」など投資をする企業や人を指します。
つまり、日本の場合では、スタートアップに関わらず、新規事業であったり、設立年が比較的最近の企業のことをベンチャー企業と言っているということです。

スモールビジネスとは?意味や特徴は何?


スタートアップと似たような言葉としてスモールビジネスというものがあります。
スモールビジネスとはその名の通り、小規模な事業です。
スモールビジネスの特徴としては以下の通りです。

スモールビジネスの特徴

    1.既存の市場に進出する
    2.一次関数的な成長をする
    3.経営の効率化や製品の届け方などで競争優位性を高める

1.既存の市場に進出する


スモールビジネスは、既にあるとわかっている市場に進出します。例えば、カフェやブログなどが考えられます。
既にある市場に進出するため、競争相手が多くいます。
その中で、どの部分で独自性を出し、どのような方法で利益をあげるのかが重要になってきます。

2.一次関数的な成長をする


既にある市場に参入するため、需要も一定あります。一方で、その需要を競争相手と取り合うため、爆発的な需要の増加はあまり見込めないです。
そのため、成長は一次関数的に直線的なものになるでしょう。
その成長モデルとしては、飲食店を例とすると、店舗の規模拡大やフランチャイズ化などがあります。

3.経営の効率化や製品の届け方などで競争優位性を高める


既に市場が出来上がっているため、それに対するビジネスモデルの大枠も既にできている状態になります。そのため、どのように経営していくのかが鍵になってきます。
例えば、大手コンビニチェーンは、他社から優位性をとるために、運送をすべて自社で担って、運送コストを下げたり、自社製品を作ることで、商品の価格を抑えています。
また、化粧品業界では、広告によってブランディングを行うことで優位性を獲得しようとしています。
このように、新しいビジネスモデルや価値ではなく、価格・広告などによって収益を伸ばしていくのがスモールビジネスの特徴です。

スタートアップ・ベンチャー・スモールビジネスの違い

これまで、スタートアップ・ベンチャー・スモールビジネスについて整理しました。では、それぞれの違いは何なのかについてまとめます。
まず、ベンチャーは、日本においては新規事業全般を指す言葉であるので、スタートアップやスモールビジネスなど新しいことはすべて含みます。
そして、スタートアップとスモールビジネスの違いについては以下のようにまとめました。

 

まとめ

スタートアップ・ベンチャー・スモールビジネスの違いについて理解していただけたかと思います。スタートアップが絶対いいというわけではなく、自分のしたいことがスタートアップの方が実現できるのか、それともスモールビジネスの方なのかについて考えることが重要です。
自分がしたいことは何なのか、それを実現するためにはどのような方法が最も良いのかを考えていくことが大切です。

<参考文献>

PR TIMES(2021)「2020年国内スタートアップ投資動向レポート」

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